ナノ精度を支える、3つの設計思想
2026.04.10by 技術部 佐藤 健一
サブミクロン領域の精密加工において、最終的な仕上がり寸法の安定性を決定する要因は、工作機械の絶対精度以上に「環境設計」にあると言っても過言ではありません。当社の精密加工エリアでは、温度管理・振動制御・測定基準という3つの設計思想に基づいて、安定した品質を実現するための仕組みを構築しています。
第1の温度管理は、室温を年間を通じて20℃±0.5℃で維持する完全空調環境です。鋼材の熱膨張率は約11μm/m/℃ですので、ワークサイズが大きくなるほど、わずかな温度変動が公差に致命的な影響を与えます。当社のクリーンルームでは、HEPAフィルター付き空調を24時間稼働させ、温湿度を集中監視システムで記録しています。
第2の振動制御では、工作機械の据え付け基礎に独立した防振コンクリートブロックを採用し、外部からの振動を遮断しています。さらに、加工中の工具・主軸の動的バランスを定期的に測定し、共振による表面粗さの悪化を未然に防いでいます。
第3の測定基準は、社内に独立した恒温恒湿の測定室を設置し、ZEISS製三次元測定機を中心とした検査体制を構築している点です。加工現場と同じ温度環境で計測することで、温度変化による誤差を最小化し、検査結果の再現性を高めています。
この3つの設計思想を一体として運用することで、当社は±1μmという公差を、試作品ではなく量産レベルで安定して実現しています。これからも私たちは、精度を支える環境設計の進化を続けてまいります。
